2018年06月28日

2018年6月~7月 辻蕎麦便り






 水無月。

毎年のように紹介していますが、やはりこの時期の山形といえばサクランボにつきます。
全国のサクランボの約70%を生産する最大の産地ですから、ちょっと郊外に出れば、濃い緑の葉の間にルビー色の愛らしい球形が揺れる景色を至る所で目にすることができます。

 今月に入って天候不順に見舞われ、肌寒い日が続いたりしました。
サクランボの出来を心配していましたが、天候の割には順調に生育したようで、収量に影響はないとのことです。
月末を迎え、サクランボの代名詞のような「佐藤錦」の収穫が終わり、新たな有力品種「紅秀峰」に作業が移っております。

 サクランボのシーズンになると必ず思い出す“出来事”があります。
25年ほど前のことでしょうか。
高速道路の東北自動車道から宮城県で枝分かれし、山形市や寒河江市など中央部を通り庄内と結ぶ山形自動車道が寒河江市まで部分開通しました。
ある日曜日、ここに宮城県や福島県などからのサクランボ狩りの車がどっと押し寄せたのです。
「凄まじい渋滞」などという言葉を幾つ重ねても足りないくらいの状態になったのです。
高速道路上に延々と続く車の列が全く動かない。
何が起こったのかと車から出てきて様子を見る人たちの影が次第に濃くなっていったというのです。
一番困ったのはトイレということをニュースで知りました。
原因はサクランボ園の駐車場不足のようでした。
当時はまだそれほど観光果樹園が多くなく、サクランボ狩りの車を受け入れる駐車場はあっという間に満杯に。
入れ切れない車は高速道路からのアクセス道に立ち往生し、その後続の車は高速道路から出られないということになったようです。
今じゃ大型バスがずらりと並ぶ駐車場もあり、あんな状態を招くことなど全く考えられませんが。
地元では大ニュースになりました。

 天候不順といえば、今年の山形は完全な雨不足。
梅雨に入って以降の山形県の降水量は平年比の20%ほど。
ささやかな家庭菜園は完全に干上がって、成長する作物を支える支柱も地面が硬すぎて容易に突き刺せない。
野菜の生育にも影響が大きく、せっかく発芽したにもかかわらず途中で枯れてしまうものも。
毎日のように水を掛けていますが、なかなか地面に浸み込んでいかない。
しとしとと降る雨にかなわないんです。
連日天を見上げていても、一向に降る気配がない。
雨乞いをした昔の農家の人たちの心境が少し分かったような気がします。
もっとも昔の人たちは干ばつになれば生死の境をさまようわけですから、必死さは桁違いだったでしょうが。





posted by 辻蕎麦(つじそば) at 14:08| Comment(0) | 辻蕎麦便り | 更新情報をチェックする

2018年05月28日

2018年5月~6月 辻蕎麦便り






 皐月。

白から緑に衣替えする周囲の山並みを見ておりますと、気温の乱高下を繰り返しながらも季節は確実に移ろうものだということを感じさせてくれます。
つい先日まで1日の温度差が15度を超えることもありました。
春先と真夏を24時間の中で体験するわけですから、年配者ならずとも体調維持は容易でありません。
暑ければ暑いなりに、寒ければ寒いなりに対処の方法というものはありますが、寒暖がこれだけ短時間で交互にやって来るのでは、なかなかと大変です。

 数年前に「雪もみじ」を取り上げたことがあります。
全山燃えるがごとくという紅葉は秋の景色ですが、「雪もみじ」は高山の残雪と新緑が重なる5月がシーズンなのです。
陽光が強まり、ブナの木々が芽吹き始めると、冬芽を包んでいた赤茶色の芽鱗(がりん)が剥がれ落ちます。
真っ白な雪の上に無数の芽鱗が散りばめられた光景はまさに紅葉のようです。
ブナが吸い上げる水からの放射熱などで融雪し、木々の根元に丸くぽっかり穴ができたようになる根開きの現象なども加わり、実に面白い情景をつくりだしています。
山形県のど真ん中にある月山はブナ林の宝庫。
5月の中旬になれば見ることができるのですが、「近くなのでいつでも行ける」が仇になり、ことしも実現しませんでした。
上の文章は写真を参考に書きましたが、来年こそは万障繰り合わせて足を運び、体全体で感じたものをお伝えしたいと思っています。

 タマネギ栽培2題で自然の不思議さ、面白さを目の前で味わっています。
山形のタマネギ栽培は、8月に畑や苗箱などに種を蒔き、ある程度の大きさになったら10月中旬ころ畑に定植。
雪の下で3、4カ月間過ごし、雪解け後に急速に成長し6月に収穫します。
昨年8月、30㌢×40㌢ほどの発泡スチールの箱に種を蒔きましたが、なぜか全く発芽しませんでした。
慌てて畑に蒔いたものが発芽し、ほっとしたものです。
ことし4月に、全く変化のなかった発泡スチロールから緑の糸のようなものが次々に出てきました。
関心をはらっていなかったので、途中で気付いたのですが、まぎれもなくタマネギの芽。
どうして今ころ、と疑問符がたくさんつきまといましたが、水やりを欠かさず丁寧に育てたところ丈が20㌢を超えるまでに。
畑に定植できるまでに生育したのです。
季節が大幅にずれているが、果たしてどうなることやら。
もう1つ。昨年収穫した中で直径3、4㌢と小さ過ぎて使いものにならず台所に放っておいたら10個ほどが芽を出したのです。
畑に戻したら大きくなるかも、と極めて単純な発想で昨年11月に小さな畝を造り植えてみました。
春になり暖かくなったら急成長し、一般のタマネギより元気に育っています。
2年もかかって育った味はどんなものか。
果たして美味しいのか、美味しくないのか、やたら辛かったりしてとか。

妄想を膨らますだけで実に楽しい。








posted by 辻蕎麦(つじそば) at 09:13| Comment(0) | 辻蕎麦便り | 更新情報をチェックする

2018年04月26日

2018年4月~5月 辻蕎麦便り






卯月。

ジェットコースターのように乱高下する気温。
夏になったり早春になったり。
人間も対応するのに苦労しているが、動くに動けない植物などはさぞかし戸惑っていることでしょう。
とはいえ季節は確実に移ろっています。
山形では今月上旬に開花宣言がなされました。
その後、桜前線はあるときは早足で、ある時は立ち止まりながら北上。
それを追うようにさまざまな木々が一斉に芽吹き始めました。
以前にも紹介しましたが、北国の春は本当に慌ただしいのです。
首都圏などのように梅が咲いて、次に桜が咲いてなどと順番に開花していくわけではありません。
梅、桃、桜、それに果樹王国にふさわしくいろいろな果樹がわれ先にと一斉に開花します。
地域によっては全域がピンクや白に染められているようなところも。
青空と真っ白な雪山を背景にそうした光景をながめていると、「桃源郷」とはこういうのを表した言葉かもしれないと思い浮かべてしまいます。

先日、菜園を見回っていて、「えっ、こんなに早く」とびっくりしました。
数本のアスパラが地中からひょっこり顔をのぞかせていたのです。
ハウスならともかく、4月に露地でお目にかかった覚えはありません。
夏日が3日ほど続いた後だったので地温が上がり、「もうおれの出番か」と粗忽なアスパラが慌てて出てきたのかもしれません。
もっとも顔を出したまでは良かったのですが、その後一転して春の入り口のような低温に。
おまけにそぼ降る冷たい雨。
とても我慢できないと寒さのあまり幾分土の中に顔をうずめてしまったのではないかという気さえしました。
もちろん錯覚ではありますが。
他の野菜たちもどうすればよいのか右往左往しているのかもしれません。

 生命の神秘というか、生命の力強さを感じさせてくれるできごとがありました。
ややオーバーな表現になってしまいましたが、南国の果物パッションフルーツの苗がこの山形で冬を越し、葉をつけ蔓を伸ばし始めたのです。
昨年、グリーンカーテン用に2本の苗を入手。
2つの大きな鉢に植えたところ2階まで蔓が伸び、しっかり役目は果たしてくれました。
しかし問題はどう越冬させるか。
外に置くわけにはいかず、蔓を50㌢ほど残してバッサリ切り、根もコンパクトにして小さな1つの鉢に植え替え、自宅廊下の隅に移動。
青々とした数十枚の葉はいくら家の中といっても外気温がマイナス10度を下回ったころに一斉に落ちてしまい、蔓は丸裸に。
やはり無理だったか、とあきらめていました。
ところが3月末ころから次第に芽吹き始め、4月に入って葉が大きくなるにつれ蔓も伸び出したのです。
信じられないものを目にした感じでした。
まさにミラクル。
何事も簡単にあきらめちゃいかんのですね。





posted by 辻蕎麦(つじそば) at 18:08| Comment(0) | 辻蕎麦便り | 更新情報をチェックする