2017年11月27日

2017年11月~12月 辻蕎麦便り







 霜月。

「1年がたつのは本当に早い。あっという間だった」。
本来なら年末に行く年を振り返りながら書くべき文言かもしれませんが、午後になるとふと浮かんでくるようになりました。
なぜなのかははっきりしています。
ずばり天候。
今月に入り雲ひとつない澄み切った青空をいつ見たのか思い出せないほどです。
毎日のように「曇時々雨」「曇のち雨」、そして中旬以降は「曇のち雪」や「みぞれ」などというのも混じったりして。
今月は24日までに日照時間が1時間以下というのが6日間もありました。
とにかく1日中が暗い。
冬至が近づいているのだから日の入りが早いのは重々承知しているものの、昼過ぎころから薄暗くなるのでは自然に気持ちが滅入ってしまいます。
こんな時です。
なにやらもう1年が過ぎたのでは、という思いが浮かんでくるのは。
明治5年11月に明治政府は来月3日をもって明治6年1月1日とすると発表し、かなり強引に太陰暦を廃止し太陽暦を導入しました。
財政悪化から役人への給料不払いが理由のひとつというのですから驚きです。
当時は大騒動になったようですが、今の気分なら素直に受け入れられそうです。

 そういえば山が白くなり始めても熊の目撃情報が相変わらず報じられています。
エサ不足で冬眠の準備が整わないのですかね。
本来なら皮下脂肪をたっぷり蓄え、巣穴で惰眠をむさぼりながら春の訪れを待っている時季なのに。
異常気象は微妙に自然界も変えつつあるのかもしれません。

 先日新聞に興味深い記事が掲載されていました。
秋田県のマタギへのインタビューですが、近年、熊の肉がより美味しくなってきたというのです。
その理由として考えられるのが“美食”。
以前は木の実などを主食にしていましたが、近年はスイカ、メロン、ブドウ、モモ、リンゴなど果物類が増えてきました。
熊は一度口にした味は忘れないそうです。
多分これが人里へ頻繁に姿を現す要因かもしれません。
農作物の被害面積は年々拡大しており、そのうち熊の糖尿病の多発が問題になったりして。
いずれにしても果物類を多く摂取していることが熊の肉の味を変えているのではないかというのです。
そしてもっとも恐ろしいのが人間を襲った経験のある熊です。
これは説明するまでもないでしょう。
熊は熊の縄張りで生きられる日がきてほしいものです。

 いよいよ師走。
辻蕎麦の工房では間もなく年越し蕎麦の準備に入ります。
新たな年に向かい期待と希望を込めてお召し上がりになるお客様のご要望におこたえすべく精魂込めて打ち上げていきます。
まさに夜も寝ないでの日々が続きますが、美味しいと言っていただけるそのひと言を励みに頑張ります。
よろしくお願い申し上げます。





 
posted by 辻蕎麦(つじそば) at 17:16| Comment(0) | 辻蕎麦便り | 更新情報をチェックする

2017年10月22日

2017年10月~11月 辻蕎麦便り







 神無月。
「錦秋の候」という言葉がぴったりの季節ですが、今年に限って言えば、それはどこの世界の話といった感じです。
「秋晴れ」とか「秋天」などと表現できる爽やかな天候はいったい何日あっただろうか。
朝に晴れていても、昼過ぎには厚い雲が覆ったり、ややもするとぽつりぽつりと歓迎しないものが落ちてきたりと、とにかく1日中澄み切った青空という記憶がほとんどありません。
もっともこれは山形だけのことではないようですが、さすがに鬱陶しくなってきます。

 自然の中にも“異変”が。
ささやかな菜園でキャベツなどを育てていますが、昨年までは追っても追っても飛び交う蝶に悩まされてきました。
なんせ葉の裏に産み付けられた卵が青虫になり、ようやく大きくなりかけている葉を次から次と食い荒らすのですから。
菜園を手掛ける前までは、「おっ、蝶が舞っている」などと優雅な光景に映ったのですが、いまや憎っくき仇でしかありません。
その憎っくき仇の姿がこの秋はほとんど見かけないのです。
本当は嬉しいはずなのですが、あまりに少ないと何か異変が起きているのではないかと心配になるほどです。
どうなっているんでしょうね。

 窓越しに冷たい雨がそぼ降るのを眺めていて、「えっ、何これ」と一瞬わが目を疑いました。
4月末に園芸店でグリーンカーテンに最適という謳い文句に惹かれ、うかつにも栽培知識ゼロながらパッションフルーツの苗2本を購入。
大型のプランターに肥料をどっさりやって植え、2階の窓との間にネットを渡しました。

 その後、これは熱帯だか亜熱帯の植物で、果たして雪国山形で育つのか。
ハウスなどもないし冬はどうするの。
しかも簡単に受粉しないし、受粉しても熟して食べられるようになるのは容易でないことも分かりました。
どうしてこんなものに手を出したのかと後悔しましたが、いろいろ考えても仕方がない。
最後は、グリーンカーテンをひと夏楽しめばいいではないかと割り切りました。
やはり花は咲けども受粉せず。
それでも2階まで葉を繁らせグリーンカーテンとしては立派に役目を果たしてくれました。
秋になり気温が下がり始めたころに再び花が咲き始め、ある日、蔓の途中に直径5㌢ほどの艶やかな緑の球形が下がっているのが目に入りました。
その1個が1カ月ほどぶら下がったままだったのが、なんと最低気温がひとケタになった今月中旬に2個目が誕生していたのです。
熱い地方の果物が気温ひとケタの中で実っているというのが全くピンときません。
そろそろ蔓を切り詰め、小さな鉢に植え替えて家の中に入れなければと思っていたのに。
しかし冷たい雨の中で揺れる小さな緑の球形を目にするといじらしくなり、なかなか蔓をばっさりという気になれません。
日一日と気温は下がっているのですが。

 今年も新蕎麦本番の季節を迎えました。
辻蕎麦の工房には、蕎麦粉をかき混ぜるときの馥郁たる香りが漂っています。
お客様には申し訳ありませんが蕎麦の香りだけは、打ち手は鼻で、お客さんは噛みしめた後に口腔から感じていただくしかありません。
それぞれの蕎麦粉の良さを最大限引き出すよう懸命に努めておりますので、存分に味と香りをお楽しみください。







posted by 辻蕎麦(つじそば) at 16:44| Comment(0) | 辻蕎麦便り | 更新情報をチェックする

2017年09月22日

2017年9月~10月 辻蕎麦便り






 長月。

 首都圏の友人夫妻が訪ねてきたので、久しぶりに県内各地を一緒に回ってきました。
主に山あいの温泉旅館や宿泊施設に泊まりましたが、「やはりそうなんだ」ということを痛感させられました。
いわずとしれた今年の夏の異常気象です。
雨続きで東北南部は梅雨明けが特定されなかったのですから。

 9月半ば過ぎともなれば、山形県の山間部ではスーパーなどでは絶対お目にかかれないようなキノコ類が頂けるようになります。
キノコといえば、「匂いマツタケ味シメジ」ともてはやされるキノコの王様的存在であるマツタケやシメジ、それにシイタケ、ナメコ、マイタケなどを思い浮かべる人が多いことでしょう。
しかし食べられるキノコは数多くあります。
何種類ものいわゆる雑キノコを一つの鍋で煮たキノコ汁は実に深い味わいがあり、一度食べたらやみつきになってしまうほどです。

 大都会から来たのだから、キノコ汁をぜひ食べてもらいたいとわざわざ山あいの宿泊施設に予約したのですが、いずこの食事にもその姿かたちがない。
えっ、どうしたの、と叫びたいような気持に。
温泉街の朝市も例年なら採りたてのキノコが並ぶのに、いくら目を凝らしても探せない。
店のおばちゃんたちとのやりとりの中で判明したのは、雨が多過ぎたせいかキノコが出ないということ。
こんなことはあまり記憶にないという。
干ばつならキノコが不作というのも分かるが、雨が多過ぎてだめというのは想像が及びませんでした。
なにごともほどほどなのが一番なんですね。

 キノコの宝庫ともいえる地域の産直施設を回っても結果は同じでした。担当者の話では、キノコだけでなく、他の木の実などの出来も心配。
熊の目撃情報がニュースで毎日のように報じられているが、山でのエサが少なければ里に下りてくる可能性がぐっと高まるのでという。

 肝心のキノコ汁・・話だけで帰したのでは申し訳ないので、山の中にぽつんとある山菜そばを売り物にしているお店に案内しました。
天然物だけでというのは無理ですが、天然物プラス栽培物で作ったキノコ汁をつけ汁にしたお蕎麦をご馳走。
大き目の鉄鍋にキノコと山菜がたっぷり入った光景を見ただけで友人夫妻は大感激。
言葉もなしにお蕎麦をせっせと口に運んでいました。

 山形は黄金色と純白が波打つ海の刈り取りが間もなく始まる季節になりました。
今のところソバは順調に生育しているようです。
新蕎麦を楽しんでいただける日もそう遠くありません。
ご期待ください。






posted by 辻蕎麦(つじそば) at 17:34| Comment(0) | 辻蕎麦便り | 更新情報をチェックする